第29話 「育ち」の違い?
同世代の友人2人とのたわいもない会話から。
G君が、些細なことから夫婦喧嘩になり、勢い「お前、ふざけるなっ!」と奥さんを怒鳴りつけたところ、
奥さん「親にも『お前!』なんて言われたことがない」と泣き出してしまったとのこと。
それを聞いたO君、
嫁さんを実家に連れて行った時、親父がオレのことを『お前』と呼ぶのを聞いて、
「家族同士で『お前』なんて呼ぶことが信じられない」と奥さんが驚いていたのだとか。
考えてみれば自分も、通常の会話でも『お前』という言葉を普通に使っている。もちろん親しい間柄に限るが。
古くからの友人同士だと『お前』が『てめぇ』に変わる。(決して喧嘩をしているわけではありません)
G君は東京の練馬育ち、O君は山口県出身。そして私は東京神田の生まれ。
ということは地域性に関係なく、育った家庭環境によるものであろうか。
歴史好きのG君。
「そもそも、『お前』は御前から来ている言葉で、相手を敬う気持ちから使われた言葉なんだよね」云々。
言葉の由来はともかくとして、育ちが異なる夫婦間。あらためてそのギャップを認識することとなった。
前述通り、私は東京の神田で生まれ育ち、親父も浅草生まれの、いわゆる「チャキチャキの江戸っ子」である。
(一説によると、両親、祖父母と3代揃って東京生まれでないと「江戸っ子」とは語れないそうだが・・・)
家では、映画「男はつらいよ」の寅さんよろしく、
親父が「てやんでぇ、おととい来やがれぃ」と言うのを何度か聞いたことがある。
「おととい来やがれぃ」とは、一昨日に来ることはできないので、すなわち「二度と来るな」という意味である。
当時、家族で商売を営んでおり、性格のよく似た祖母と親父はしばしば口喧嘩が始まる。
「何言ってやがんでい~!」
「なにおぅ~、このすっとこどっこい!」
しかし、お互いすぐにケロッとして、何事も無かったかのように普通の会話に戻るのである。
これらは、いわゆる「江戸弁」であり、「べらんめぇ口調」と言われる言葉である。
今では、落語や映画等でしか聞かないような江戸言葉。
私にとっては懐かしくもあるが、確かに品が無い、か。
特に感情的になると、私もこの手の言葉がまま飛び出してくる。
家でも、家内や娘に対して「お前!」と言うこともあるが・・・。
今まで特段指摘されたことは無いが、信州育ちの家内は、この言葉に違和感を覚えているかもしれない。気にもしていなかったが、G君、O君の話から、一度家内に確認してみる必要がありそうである。
そういえば「ヒオシガリ」と言って笑われるので、ここ何年も「潮干狩り」に行っていないなぁ。
冒頭のG君、いまだ奥さんとは険悪なままだとか。
是非、二人で「男はつらいよ」シリーズ最終作「寅次郎紅の花」を見て欲しい。
日付2014/12/10