第27話 工事現場見学
前話に引き続き「工事現場」に関する話しであるが、本話は治水設備工事に関してである。
自宅の近隣を流れる善福寺川は、善福寺公園から「中野富士見町」辺りで神田川に流れ込む、すなわち神田川の支流にあたる全長12km弱の一級河川である。
我々世代としては、神田川といえば、
若かったあの頃、何も怖くなかった
ただ、あなたの優しさが、怖かった~♪
そう、「かぐや姫」の名曲を思い浮かべるに違いない。
その神田川は、東京の都心部を流れ、古くから河川が氾濫することで知られており、長年にわたり洪水対策のための”護岸整備がすすめれれてきたが、更に都市化が進み、雨が降ると流域から一挙に大量の水が流入し、水害が頻発するようになった。 家の近所でも、ここ数年で3度、集中豪雨による河川(善福寺川)の氾濫で、知人が被害にあっている。
そんな状況から、東京都は2005年11月18日に、河川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)を採択し、現在も護岸整備、河床掘削、橋梁の架替え、地下調節池の整備、などを行っている。
地下調整池として有名なところでは、1988年(昭和63年)に着工し、1997年(平成9年)の集中豪雨で、完成を待たずに止む無く取水を開始した「環状七号線地下調整池」がある。 「環七」の地下に、直径12.5m、長さ2kmの巨大トンネルを作り、そこに240,000?もの雨水を貯留し、神田川と善福寺川の氾濫を抑えるための施設で、現在は二期工事も完成し、総貯留量540,000?という規模で、昨今のゲリラ豪雨に対しても大きな成果を上げている。
前述の「激特事業」の一環として、2012年(平成24年)より着工されたのが、善福寺川調整池事業で、家から直線距離で100m程度にその現場がある。この調整池は、直径60m、深さ27.2m、総貯留量35,000?の規模で、地下に作られるため、地上は運動広場になる施設である。
その調整池の掘削がほぼ終了し、10月25日に深さ30mの大穴が開いている状況を見学してきた。 この見学会は、近隣小学生が通う地元小学校の「おやじの会」が主催し、工事担当の「東京都建設局」の職員の方に、説明・案内をしていただき実施されたものである。 当然ながら、我々地域住民に対して、着工前に工事の説明会を行い、また工事概要や進捗状況も適宜現場に複数箇所掲出され、その内容を詳しく知ることは出来ていたが、やはり目の当たりにすると「それ」は圧巻である。
写真ではその大きさは伝わらないと思うが、地上の10トンダンプと池底のショベルカーの大きさで判断してもらいたい。
穴の底には降りられないと聞き残念に思っていたが、実際に「それ」を見ると、「降りてもいい」と言われても躊躇したに違いない。
学校のプールに換算して140杯分の量、ということであったが、それを聞いても今ひとつピンと来ない。
2016年(平成28年)まで約4年間の工事で、その間公園の使用も制限され、騒音や粉塵、工事車両の頻繁な出入り等、近隣でもこの規模の調整池の必要性に疑問を持つ声も少なからず聞いていた。 実際にこの地下貯留池が、どの程度有効に稼働されるかは未知数ではあるが、地元の公園の地下に、このような大きな防災施設があることを知り、それを直接見ることの意味は大きい。
もっとも、この現場でも、また新たな重機類を間近で見ることができ、「男の子」の血が騒いだのも事実である。
日付2014/10/28